肛門の主な病気
肛門の主な病気
※当院の疾患対象年齢は16歳以上です
痔は痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろうの3つに大別されます。症状は出血、脱出、疼痛、かゆみなどが挙げられます。いぼ状の膨らみができる痔核は、直腸と肛門の境目である歯状線よりも内側(直腸側)に生じる内痔核と、外側(肛門側)に生じる外痔核に分類されます。裂肛は肛門の皮膚が裂けて、痛みや出血が生じ、慢性化すると肛門狭窄を引き起こすことがあります。痔ろうは、肛門組織が細菌に感染して炎症を起こし、膿がたまり、肛門の内部と肛門周囲の間にトンネルのような管が形成されます。痔になると痛みや出血に加え、ストレスが生じ、生活の質(QOL)の低下を招きます。
痔の中で最も多い痔核の治療には、現在、様々な選択肢があります。治療の基本は生活習慣特に排便習慣の見直し、薬物療法、外科的治療があります。症例によって手術(結紮切除術)やレーザー治療が検討されることもあります。近年手術の中心は内痔核硬化療法(ALTA)です。直接、内痔核に薬剤を注入するもので、痔核に流入する血液が減少し、出血が止まります。それにより痔核が硬化・縮小し、痔核の脱出の改善が期待できます。
便に血が混じる場合、痔だと思い込まないでください。専門医の適切な診察や検査を受けないと大腸がんや直腸がんなど他の重大な病気の発見が遅れる場合があります。
お早めの受診をお勧めします。
当院では内痔核硬化療法(ALTA)を実施しております。切除を伴うような大きな痔核(外痔核をふくむ)にはしっかりした麻酔が必要なので行えませんが、脱出を伴う内痔核,出血の症状が主な内痔核に対しては局所麻酔下での手術を行います。朝来院して術後は昼前に帰宅していただけます。
術後翌日の再診が必須であるため当院では(月)もしくは(木)の午前中に手術日を設定しております。術前に大腸深部に痔核以外の病変がないかどうかを調べるため大腸内視鏡検査をうけていただきます。治療ご希望のかたはご相談ください。
生じる部位により内痔核と外痔核に分類されます。肛門上皮と直腸粘膜の境界部分の境目である歯状線より上にできる内痔核と、歯状線より下の肛門上皮にできる外痔核があります。
通常は排便時に出血することはあっても、痛みは感じません。大きくなると排便時に肛門から痔核が脱出します。歩行時や運動時にも脱出するようになると不快感を伴います。内痔核があるときに、強くいきむなどの過度の力が加わると、そのなかの静脈に血液のかたまり(血栓(けっせん))ができ、痔核が肛門内にもどらなくなります。これを嵌頓痔核といいます。むくみやただれもひどくなり、激痛を伴う場合もあります。
痛みを伴います。悪化すると肛門の外痔核に小さな塊(血栓)ができて、激しく痛みます(血栓性外痔核)。いわゆる血マメのような形態で、突然発症することが多い病気です。自覚症状は強い痛みと腫れです。原因としては、長時間の座りっぱなし、排便時の強いいきみ、おしりの冷えなどが挙げられます。大きさが小さく症状の軽いものの多くは、吸収されて消失します。痛みや腫れなどの症状が続く場合は、薬物治療あるいは手術治療を行います。薬物治療は症状の程度が軽い場合や手術が受けられない場合に行います。手術治療は血栓が大きく痛みや違和感が強い場合に検討され、血栓除去を行います。
肛門や直腸周囲が化膿し、膿がたまった状態を肛門周囲膿瘍といいます。浅い膿瘍では痛み、発赤、腫脹、発熱がみられ、深い膿瘍では肛門奥の鈍い痛み、倦怠感、発熱がみられます。治療の原則は切開による膿です。切開・排膿すると、のちに膿の通り道(瘻管)が残りますが、皮膚から直腸まで瘻管と交通した状態が痔ろうです。痔ろうが確認された場合は根治的手術が必要となります。
肛門やその周りにできる湿疹やかぶれです。急にできるものや慢性的に経過するものがあります。原因としては、皮膚に起こる感染症(カンジダ性皮膚炎など)、肛門周囲の便や汗の付着など外部からの刺激が考えられます。症状は主にかゆみやピリピリとした痛みが生じます。
治療は肛門を清潔に保つようにしますが、シャワートイレでの洗いすぎやトイレットペーパーでの拭きすぎは禁物です。石鹸などによる刺激も加えないようにします。皮膚を保護する軟膏やかゆみを抑える軟膏を使用しますが、むやみに薬を使用するとかえって悪化させてしまうこともありますので、気になる症状があれば気軽に受診ください。
肛門管がんは、肛門管(直腸と肛門の間の部分)に発生するがんです。肛門管がんは消化管がんの一種であり、直腸がんとは異なります。肛門がんは比較的まれながんですが、年々増加傾向にあります。
肛門管がんの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。他にも、免疫抑制状態や喫煙、肛門周囲の長期にわたる慢性的な炎症、などがリスク要因として関連付けられています。
肛門管がんの症状には肛門周囲の腫れやしこり、肛門からの出血や排便時の出血、便秘や下痢、排便時の異常な感覚などがあります。
診断には、肛門の視触診、生検、MRI、CTスキャンなどの検査が用いられます。治療は、がんのステージや患者の状態に応じて手術、放射線療法、化学療法、またはこれらの組み合わせが行われることがあります。
早期発見と早期治療が肛門管がんの治療成功率を高めるために重要です。心配な方はご相談の上、当院の検査をおすすめします。
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